キャンのサブカルザッピング

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『lute版 東京ヴァージン』レビューその2 〜それでもおかちめんこって言うのか?〜

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全3回の『東京ヴァージン』レビュー、今回は本作品で最も印象的な要素だったマジョリティとマイノリティの対比について書いていきます。昨日『君の名は。』を見てきましたが、この夏最高の作品は『東京ヴァージン』だったと思ってます。マジで。

マジョリティとマイノリティ

前述したように本作品で最も印象的な要素だったマジョリティ(多数派)とマイノリティ(少数派)の対比。定義は人それぞれですが、自分にとってマジョリティとは電車でよく見るTHEサラリーマンや、コンパで出会うTHE女子でマイノリティは音楽やアートや映像など何かしらサブカル要素に熱中している一般人から見ると「あ、この人変わってるな。」と思われる人のことです。別にどっちが偉いとか、どっちが幸せとかはないし、あくまで主観の話ですっていうことは冒頭に言っておきます。

 

ビーバップみのる哲学

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3話の中心人物であるJonnyは別にJonnyって名前いるか?ってくらい100%ビーバップみのるさんでした。テレクラキャノンボールやBiSキャノンボールで圧倒的な存在感を放っていた大好きなAV監督、ビーバッブみのるさんそのまんまでした。

ちょこちょこ挟む雑学や、のらりくらりと話す感じなんかいちいちワクワクさせられたし、タクシーの中での会話やバーでの会話全てがマジョリティとマイノリティの対比でした。もっとわかりやすく言うと「ちんこって言う人か、ちんこって言わない人か」の対比でした。

「ちんこって言う人と波長が合うんすよ」って言う彼にマジで共感しました。これ見た後に実際にやってみたらマジでちんこって言わないんです。大人って。頑張って我慢しておかちめんこって言おうとする。おかめちんこって言わないように頑張る。

それは世の中に置き換えると、「真面目に勉強して、いい大学行って、いい会社入って、いい奥さんを見つけて、ささやかながら幸せな家庭を持ちなさい」って教えられてきたことに1ミリも疑問を持たないこと、自分の可能性を死ぬ瞬間まで信じ続けないこと、言い訳を正論化して妥協を正当化すること。

それが間違いだとは全く思ってないし、その人がそれで幸せならばそれでいいと思うけど、自分は死ぬまで笑ってたいし面白いことをやり続けたいし、ヨボヨボになっても最期まで可能性を信じていたい。

バーのシーンで最後にみのるさんが言った「頑張らないことを、頑張るしかないっすよ。」って「(マジョリティになることを)頑張らないことを、頑張るしかないっすよ。」ってことだと思う。それって頑張ってないからダメじゃん!って思う人もいるかもしれないですが、順風満帆に生きることから外れて、それでも自分の可能性を信じて頑張ることってめちゃくちゃキツい。金銭的にも社会的にも。それでも自分らしく生きれる人ってサイコーにカッコいいと思います。

あと青木さんのカラオケの後ろで寝てる感じ、マジでリアル。俺もよくやっちゃう。

 

地元と都会

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夢を追いかけて、自分の可能性を追いかけて地元の街から飛び出して都会へ出て勝負する。「俺は夢があって、実現したいことがあって、この街の誰よりも最高に生きるから、絶対にこの選択は間違ってない!」って信じて頑張ってても、大人になるにつれて「お前のその選択って本当にあってる?」「地元で生きてた方が今頃幸せだったんじゃね?」っていう揺さぶりが増えてくる。それは親から、facebookのひょんなポストからやってくる。

5話の親からの電話のシーンはまさにそれだった。もしかしたらあの時違うルートを選んだら、今頃結婚してささいな幸せを大切にいきてたんじゃないか?っていう、絶対戻れない分岐点について考えさせられる瞬間。

それでも自分の夢や、可能性や、楽しいと思えることに正直に生きるって決めたから頑張るしかない!って持ち直すんだけど、定期的にやってくる疑問。その疑問を握りつぶしながら、誤魔化しながら頑張って生きて行く。それが夢に向かって生きるってことなんだと思います。

てかよくよく考えたらあんな役の今野杏南ってAbemaが誇る最高のおバカ番組、妄想マンデーのアシスタントの子だった。最高。どちゃくそかわいい。

 

おかめちんこって言って生きていきたい

20歳くらいの時、スーツを着るのなら死んだ方がマシって思ってた。でも色々通っていく中で実際にスーツを着て仕事するようになったり、そうじゃなくなったりするうちにどんどんおかちめんこって言う大人に進んでたと思う。だけど、一度しかない人生だし、世の中にはこんなにもたくさん最高なことがあるからこそ自分らしく全力でおかめちんこって言いながら、生きていきたい。

 

次回はラストの5話についてのレビューを書きます。ちなみに5話のラスト、最高すぎて立ち上がってガッツポーズしながら「うぉぉぉぉ!」って叫びました。

 

ではまた。

 

<作品詳細>

http://tokyo-virgin.tumblr.com/

<出演>
りりか/白波多カミン/あっこゴリラ/ビーバップみのる/金剛地武志今野杏南/miu./トリプルファイヤー/Have a Nice Day!/松尾よういちろう(井乃頭蓄音団)/曽我部恵一/古野陽大(劇団子供鉅人)/千葉大輔/加藤成順(劇中写真)

<主題歌>
Creepy Nuts(creepynuts.com)「合法的トビ方ノススメ」

<挿入歌>
トリプルファイヤー(triplefirefirefire.tumblr.com)「SEXはダサい」
Ecthelion エクセリオン「Ray」「PSG-1
ドビュッシー ベルガマスク組曲「プレリュード」
Have a Nice Day!(three6pack.tumblr.com)「LOVE SUPREME」「NEW ROMANCE」
あっこゴリラ (akkogorilla.yellow-artists.jp)「ドンキーコング
サニーデイ・サービス (rose-records.jp /artists/sunnydayservice/)「I’m a boy」
井乃頭蓄音団 (inokashira.jp)「親が泣く」
白波多カミン (shirahatakamin.com)「ヴァージン」作詞:阿部広太郎 作曲:白波多カミン

<スタッフ>
脚本・監督・編集 エリザベス宮地
企画・プロデュース 五十嵐弘彦(lute)
プロデューサー 永崎真甲(DASH)
コピー 阿部広太郎
メインビジュアル いすたえこ
スチール 川島小鳥
制作会社:DASH
助監督・予告編編集 西野真伊
制作 鶴田紫央里
制作応援 畑野健人 飯泉翔太 鈴木悠香 宮川理沙
撮影 大嶋俊之
撮影助手 永田祐資 清水絵里加 冨田大貴
照明 高橋竜太郎
録音 伊藤信仁
ヘアメイク 神川成二

<ロケ地協力>
プラネアール/環七マルチスタジオ/百草台コミュ二ティーセンター/日野映像支援隊/
山中湖観光振興公社/花の都公園/ホテルハロウィーン/ 1/53studio/渋谷CLUB CRAWL/WWW/渋谷GABIGABI/渋谷 BAR FIVE/大和自動車交通株式会社/HMJM/大井ヒロシ

<映像提供>
iボッシュ(ゴリラ映像)